機械学習

Google AutoMLで機械学習エンジニアが知っておくべきポイントのまとめ

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ほぼ毎日のように機械学習や、その周辺技術などの革新的なリリースのニュースを耳にしますが、2018年1月17日にGoogleが発表したCloud AutoML(クラウド・オート・エム・エル)もその一つです。

「AutoML」ですが、機械学習エンジニアとして活躍されている方であれば、耳にしたことがある方も多いかと思います。日本でも、早ければ来週にでも、一部の承認されたユーザーがアルファ版の使用許可出るようなので、本記事では「機械学習エンジニアが知っておくべきGoogle Cloud AutoMLのポイント」をまとめました。

AutoMLですが、現在(@2月19日)は招待制となっています。興味のある方は、こちらのリンクからGoogleへリクエストを送信することが可能です。

そもそもCloud AutoMLとは?

Cloud AutoMLとは、機械学習エンジニアなどのリソースが足りていない会社や組織でも、高度かつ高品質でカスタマイズされた機械学習モデルの構築が可能なクラウドサービスです。

経済産業省が試算している通り日本を含めて世界中で、機械学習エンジニア・データサイエンティストが絶対的に不足すると言われています。グーグルの目標の一つとして「人工知能の民主化」というミッションがあり、様々な組織や会社のAI導入の障壁を取り除き、多くの組織がAIを活用できるようにすることを目標として掲げています。

AutoML以前にも、グーグルでは、クラウドでの機械学習サービス(MLSaaS – Machine Learning As a Service)を提供していましたが、あくまで対象は「機械学習の知識がある開発者」が使用できるツールでした。(Amazonも類似したクラウドサービス「SageMaker」を提供しています

AutoMLが革新的と言われる点として「機械学習の知識がなくてもモデル構築ができてしまう」という部分です。(長い時間をかけて機械学習を学んだ既存エンジニアにとっては耳を疑うようなサービスですね笑)

Cloud AutoML自体は以前から話がありましたが、今回はAutoMLのプロダクトの第一弾目が発表されました。それが「AutoML Vision(オート・エム・エル・ヴィジョン)」です。グーグルは今後もAutoMLの商品は随時追加されるとしていますが、まずはこのAutoML Visionの詳細を見ていきましょう。

AutoML Visionは転移学習を活用した画像認識モデル

Google AutoMLの第一弾目としてアルファ版が公開されたAutoML Visionですが、何がすごいのか?本当に画期的なのか?を詳しく見ていきましょう。

AutoML Visionですが、端的にいうと「機械学習の知識が全くなくても、短時間かつ簡単に画像認識の機械学習モデルを構築できる」サービスとなります。グーグル曰く、ImageNetやCIFAR(参照:機械学習データセット)のデータセットをAutoML Visionで分類したところ、一般的な機械学習APIよりも精度が高かったとのことです。

画像認識のモデルを構築するには、従来であればPythonで画像データを前処理して、訓練用やテスト用にデータを分けて、ニューラルネットワークを構築して・・・と専門的な知識がないとモデル構築は行えませんでした。このAutoMLでは、ドラッグ&ドロップで画像のアップロードを行ってモデル訓練が出来ます。(参考までにですが、このドラッグ&ドロップのインターフェース自体は新しいものではありません。Sonyのニューラルネットワークコンソールでも採用してます)

さらに・・訓練したモデルをグーグル・クラウド上で直接デプロイが可能で、自身のサービスなどに活用することも簡単に行うことが出来ます。(ここはAmazon SageMakerなどの他サービスでも可能です。)

AutoMLの特徴として書かれている部分も、上記の通り他サービスでも採用されていますので、AutoMLの実際の実力は使って見ないと判断できませんね。(また後日、AutoMLアルファ版の使用許可が出ましたら、より具体的なレビューを行います)

AutoML Visionは日本でも利用出来る?

冒頭でも記載しましたが、現時点は招待制(英語のみ)となります。筆者も公開された当日にリクエストを送りましたが、想定以上の応募があるようで、現在は選定中で今しばらく待って欲しいとの旨がGoogleより2月18日に返信がありました。

要約すると、「AutoML Visionのα版を公開しましたが、想定以上にリクエストが多かったので、現在、選定作業を行ってます。もし選定結果が合格の場合は、2月4週目から順次使えるようになります」とのことでした。

Could AutoML Visionの料金は?

AutoML Visionの利用料金ですが、まだ詳細が公開されていません。おそらく他の機械学習クラウドサービス同様に、モデルのカスタマイズ&訓練を行う際の料金(時間割)と、モデルへAPIを通じてアクセスする料金(回数)で課金されるものかと思います。

アメリカではすでにアルファ版の承認を受けているユーザーがいるようですが、料金に関する明記はありませんでした。また、詳しい料金が公開されましたら、本記事も更新します。

AutoML Visionの現在の使用状況(米国)

前述の通り日本では現時点では招待待ちのステータスとなりますが、アメリカではすでに承認が降りているとのことです。こちらのMediumの記事では、グーグルのクラウドAIの開発部門ディレクターであるジア・リー氏のインタビューが掲載れています。

リー氏によると、すでにAutoMLを利用してるユーザーは10,000アカウントを超えているとのこと。(であれば・・日本でも早く公開してください笑)。AutoMLを利用してる企業ですが、すでにAIや機械学習にかなり力を入れており、それなりにリソースのある大企業から、組織内で機械学習エンジニアなどの専門知識を有する人材はいないが、データとアイデアはある中小企業まで、様々な規模やレベルの組織が利用しているとのこと。

また、AutoMLの主な利用領域として、「アパレル」と「医療」の2つの分野が特に盛んだとのことです。例えばアパレルの場合、ひとつの服をとって見ても複数の色や柄、さらには首元や袖などのバリエーションがあります。AutoMLを使うことで、このように複雑な自社製品のバリエーションを訓練させることで分類することが可能とのことです。

Jia Li氏Google Head of R&D, Cloud AI 参照:Google Blog

AutoML Visionのビジネスによる活用事例

さて、次はAutoMLが具体的にどよのようなインパクトを既存のビジネスに与えているのかを見ていきましょう。より具体的な利用方法を知ることで、自社の活用へのアイデアが広がるかと思います。

[1] アーバン・アウトフィッターズの事例

アパレルの大手、Urban Outfitters(アーバンアウトフィッターズ)では、AutoML Visionを自社ECの検索フィルターの向上のため利用しているとのことです。今までは、各商品の属性(例えば服のパターンや首元などのスタイル)を手動で入力していましたが、膨大な商品バリエーションがあるため、非常に困難かつ時間を要していました。

そこで、AutoMLを利用して、これらの検索フィルターに使われる各商品の属性を画像から自動的に区分けできるような活用方法で進めているようです。当然ながら自社の運営コストは激減することが予想されますし、何よりもお客さんが自分の想像しているような商品へ辿り着きやすくなるという大きな可能性も秘めていますね。

[2]ディズニーの事例

ディズニーでも自社運営のオンラインストアにおける検索機能の強化にAutoMLを活用しているとのことです。具体的には、ストアの訪問者が「カーズ」の特定のキャラクターの名前を検索した場合、従来であれば、そのキャラクターの名前がタグ付けされた商品のみが検索結果として出ていましたが、AutoMLを利用することで「おしゃべりなレーシングカー」の画像(つまり商品)を検索できるようになるとのことです。

Disney Consumer Products And Interactive Media(ディズニー消費者商品&メディア)のCTO「マイク・ホワイト氏」もAutoMLについて言及しており、「関連付けされたデータは当社の検索エンジンに統合され、より関連性の高い検索結果、素早い発見、shopDisney での提案などに活用されており、よりよい顧客体験の提供につながっています」とコメントをしています。

まとめ

まだ日本では利用が不可なため、技術的な側面の詳細は不明ですが、現時点でのAutoMLの知っておくべきポイントをまとめて見ました。

日本でも、早ければ今週にもAutoMLのα版の使用許可が出るようですので、また実際に使えるようになりましたら、より具体的な使い方や使い心地などをレポートさせていただきます!

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